「歴史総合」後期期末試験
教材のねらい
国立音楽大学附属高等学校の出崎幸史先生からの提供です。
出崎先生からのメッセージ
後期期末試験では「国際秩序の変化や大衆化とわたしたち」の「第一次世界大戦と大衆社会」「経済危機と第二次世界大戦」「国際秩序の変化や大衆化と現代的な諸課題」、「グローバル化と私たち」の「グローバル化への問い」「冷戦と世界経済」より、第一次世界大戦後から1970年代までの日本・世界を範囲として出題した。年初では現代までやり切るつもりであったが、途中で終了してしまったことについて反省している。
20世紀になり様々な資料が存在することから、文章・写真・絵画を中心に、当時の状況について資料を参考にしたながら判断させる問いを多く出題することになったが、年間を通して問いに対する考えを書かせるプロセスを通じて、私見でも各自記述・論述問題に取り組んでいた。授業の展開に集中していて試験問題作成にあたることのできる時間的な余裕がなかったため、とりあえず作成した問題をそのまま出題することになったため、時代・分野ごとの配点に偏りが生じ、また知識を問う設問が他の試験と比べて少なかった。試験後に今回の試験は一番難しかったという生徒の声が複数あったが、全体の平均点は前回・前々回の定期試験よりも高く、いわゆる「思考力」を問う問題の方が生徒は試験の中で答えを導きやすかったのかもしれない。新課程になり知識と思考力のバランスについていろいろと考えながら授業を進めていったが、大まかに歴史的展開を俯瞰することで、おおよその歴史的な事象を掴むことはできているのだろうと感じる一方で、いわゆる「歴史用語」の定着については課題が見られる。
出題者は歴史分野では世界史の授業が多く、日本史の授業は近年担当しておらず、よく分からない部分が多いまま授業に臨んでいる自覚がある。特に大正時代~終戦までの日本の政治・社会については、おおよそのことは分かるが、授業で生徒に提示すべき適切な資料を探すのに苦労しており、同様に試験でも出題すべき適当な問題の設定や資料の選択に苦労している。そのあたりで生徒が問題に取り組みにくいようなことは避けたいので、ぜひ試験問題に関するアドバイスやおすすめの教材などがあればご提示いただきたい。
教材投稿サイトでは多くの先生方が授業教材について投稿されているため、授業教材は充実してきましたが、定期試験の問題についての投稿が少なく感じます。試験問題についても同様に積極的な投稿をしていただけると、多くの高校の先生方の授業・試験問題作成の参考になるとともに、大学の先生方が高校教員が授業で求める歴史観を知る機会が増えることになるかと思います。どうぞよろしくお願いします。
参考文献・資料
- 教科書
・歴総711『高等学校新歴史総合 過去との対話、つなぐ未来』(第一学習社) - 参考文献・資料(書籍)
・浅見伸夫『高校生のための「歴史総合」入門【世界の中の日本・近代史】』(藤原書店)
・池端雪浦『新版世界各国史 東南アジア史Ⅱ島嶼部』(山川出版社)
・加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(新潮社)
・原武史『「昭和天皇実録」を読む』(岩波書店)
・歴史学研究会『世界史史料11』(岩波書店)
・『アカデミア世界史』(浜島書店)
・『詳説日本史史料集』(山川出版社)
・『詳説日本史図録』(山川出版社)
・『ダイアローグ歴史総合』(第一学習社)
・『頻出テーマ日本史重要史料集』(浜島書店) - 参考文献・資料(論文)
・庄司潤一郎「日本における戦争呼称に関する問題の一考察」(防衛研究所紀要第13巻第3号)
・谷暎子「占領下の出版物検閲と児童文学」(『北星論集』第42巻第1号) - 参考文献・資料(絵画)
・オーペン「ヴェルサイユ条約の調印」
・ピカソ「ゲルニカ」
・五・四運動
・ミュンヘン会談の風刺画
・独ソ不可侵条約成立の風刺画
・アメリカ合衆国で作成されたヴェルサイユ条約批准拒否の風刺画 - 参考文献・資料(写真)
・ローマ字を教えるムスタファ=ケマル
・糸車を回すガンディー
・三・一独立運動を表したレリーフ
・1920年代のアメリカ合衆国の通勤風景
・ドイツで作成されたヴェルサイユ条約調印反対ポスター
・札束で遊ぶ少年
・ウォルト=ディズニーとミッキーマウス
・コカ・コーラの販促ポスター
・クー=クラックス=クランの集会
・アメリカ合衆国のの主婦と電化製品
・映画「ゴジラ」ポスター