日清戦争(銃後の日本人は、戦争をどう見ていたのか?)

教材のねらい

芝浦工業大学柏中学高等学校の神永卓弥先生からの提供です。

神永先生からのメッセージ

 先日、投稿させていただいた帝国主義の教材との連続性をもたせるために作成したワークシートです。佐伯佳祐先生の教材「日清戦争はどのように東アジアの国際秩序を変化させたのか?」を使わせていただきつつ、日本のエキスパート資料だけ自作のもので実施させていただきました。

 帝国主義の単元で福沢諭吉『学問のすゝめ』が登場し、「外国から自国を守るため、日本人には報国心を持たせる必要がある。それを持たせるためにうってつけの機会が戦争だ」と述べる一文が出てきます。本教材で『時事新報』が登場し、ワークの中で新聞の創刊者が福沢だと判明するタイミングで、生徒の中には前時の内容とつなげて理解してくれる者が多かったように思います。
 また、「日清戦争は文野の戦争である」というスローガンが打ち出されていきますが、文明と野蛮の図式もひとつ前の授業で考えてもらっていますので、こちらも前回までの理解をふまえて学習してもらえればと思っています。
 紙幅の問題でカットしたものとして、旅順虐殺事件があります。大谷正先生のご著書(p128-)で学びましたが、これをあわせると「日本=文明、清=野蛮」の図式がいかに恣意的なものか、生徒に分かってもらえるのではないかと思います。定期試験で初見資料問題として出題するのも良いかもしれません。

 教材のもう一つの狙いは、戦争とメディアの関係です。新聞や絵草紙によって日本人が一つにまとまっていく過程を生徒に掴ませたいと考え、資料を選びました。紙幅の関係で省略しましたが、日本国内で巻き上がる義勇兵運動なども自発的に戦争へ協力する国民の様子を学ばせるのに良い事例かと思います。

 この次の単元は日露戦争になります。日清戦争の段階では殆ど戦争支持一色という世論でしたが、日露戦争期になると非戦論が登場するようになる、ということを捉えさせるためにも、日清戦争のところでナショナリズムの高揚を確認させたいところだと思います。

参考文献・資料

  • 大谷正『日清戦争 近代日本初の対外戦争の実像』中公新書,2014
  • 原田敬一『日清戦争論 -日本近代を考える足場-』本の泉社,2020
  • 大月功雄「戦争記録映画の誕生 -日清・日露戦争と戦場のリアリズムー』(『立命館平和研究』22,pp73-93)
  • 原田敬一『日清・日露戦争:シリーズ 日本近現代史 3』岩波新書,2007
  • 原朗『日清・日露戦争をどう見るか 近代日本と朝鮮半島・中国』NHK出版新書,2014
  • 三谷博『明治維新とナショナリズム』山川出版社,1997
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