明治国家はどのような「危機」に直面し、どのように対処したのか。また、現代に生きる私たちは現在どのような「危機」に直面しており、どのように対処しようと考えているのか。

教材のねらい

相洋中学・高等学校の千葉響先生からの提供です。

単元や教材の説明

 実教出版の『詳述歴史総合』という教科書をわが校は採用している。したがってこの教科書の内容を基本にして、教材を作成した。なお、他の出版社の教科書や資料集の内容も確認し、関連内容を教材化した。本教材はたたき台であり、完成品ではない。ご覧になられた先生方からご意見等々をいただき、より充実した資料に改変できればいいと思っている。

 授業の形式としては、2月の東京都歴史教育研究会の報告(都立保谷高校)を基本としている。プリントの構成も左は『詳述歴史総合』の徹底整理演習ノートの左側のまとめを基本にして授業者が加筆や修正を加えている。

 次に本教材を作成する中で、意識をした点であるが、「危機」という言葉について生徒は「悪い状況」を想起すると予想している。しかし、「危機」はよくも悪くも転じる可能性のある「転換点」という意味と知ることで、生徒の関心を喚起する導入を考えて題材を選択した。また、各教材の特徴は日本史領域の内容であるものの、西洋との関係性を盛り込んだ部分や、近世と近現代の「連続性」ということを意識している部分を意識したところである。「連続性」という理解が従来の歴史研究の死角になっていたことはもとより「危機」というテーマを考えるにあたり重要な視点であると考えている。さらに、「危機」が作り出した明治国家が憲法制定をもって立憲国家として歩みだすところまでを描いたが、明治立憲国家体制の功罪を今後の単元につなげるための伏線としてちりばめるために6単元ではこの後の予告的なワークを配した。

*なお、今回作成した授業資料には入っていないが、ジャレド・ダイヤモンド著・小川敏子・川上純子訳『危機と人類(上)』(日本経済新聞出版社、2019年)の20~22頁にある国家的危機と個人的危機の往還についても、自校では厳しいと判断しているが、他校ではもしかすると面白い観点なのかもしれない。

 「個人的危機を左右する12の要因のなかには、単純には国家的危機に応用できないが、メタファーになっていると考えれば有益なものもある(同書21頁)」

 本書では以下に個人の思想をナショナルアイデンティティに読み替えるということが言及されている。

*本教材は教材共有サイト(旧サイト)に2022年3月10日にアップロードされた教材と同じものです。

この先に含まれるコンテンツは会員限定のコンテンツです。

単元に含まれる教材

この先に含まれるコンテンツは会員限定のコンテンツです。

コメント

コメントはログイン中の会員のみ表示されます。