韓国が日本の植民地になる必要があったのか?
教材のねらい
東京都立足立高等学校の山本治輝先生からの提供です。
山本先生からのメッセージ
本実践は、本研究会の2024年度全国大会(静岡大会)の第2部会で報告させて頂いた実践です。実施状況は以下の通りです。
・実践校:東京都立足立高等学校(偏差値40中盤~後半)
・実施時期:1学期最後の授業
・実施学年:1年生(2単位必修)
歴史総合大項目B「近代化と私たち」のうち、韓国併合を中心とした日露戦争後のアジア情勢をテーマとした授業実践です。佐伯佳祐先生の「日露戦争での日本の勝利はアジアの「希望」といえただろうか?」や清水書院の『私たちの歴史総合 資料から読み解く近代の日本と世界』、浜島書店の『資料と問いから考える 歴史総合』を参考に、日露戦争後のアジアにおける日本に対する見方と日本の帝国主義的側面に着目することをねらいとしています。
本実践では、4つの資料を用意し、KCJ(知識構成型ジグソー法)の授業を意識した授業実践となっています。4つの資料の種類は以下の通りです。
①韓国の視点:安重根の主張(佐伯佳祐先生の「日露戦争での日本の勝利はアジアの「希望」といえただろうか?」から引用)
②日本の視点:韓相一・韓程善著『漫画に描かれた日本帝国~「韓国併合」とアジア認識~』(明石書店/2010年)から『二六新報』の解説を抜粋
③インドの視点:ネルー著『父が子に語る世界歴史』(みすず書房/2016年)より抜粋
④イギリスの視点:伊藤之雄・李盛煥編著『伊藤博文と韓国統治』(ミネルヴァ書房/2009年)からイギリスのランボルド参事官の韓国併合に対する見方について書かれたところを抜粋
韓国併合について当事者である韓国・日本の両国はもちろん、日韓と同じアジアで植民地化されていたインド、日本と同盟国であるイギリスの視点も入れることでより多面的・多角的に当時の日本の国際的立場を理解することができる教材となっています。
本教材を通して生徒は、歴史的な多面的・多角的視点を養うだけではなく、日本国内とアジア諸国の日本に対するアジア内での位置づけのずれが生じていることを教訓に他者と対話することで自分が周りにどう見られているのか、自分は集団の中でどのような存在なのかを生徒が的確に把握でできるようになってほしいという目的でこの教材を作成しました。
本実践をふまえた全国大会での発表レジュメも添付致しますので、本実践の反省点と改善点についてはそちらをご参照ください。また、昨年度も韓国併合での実践として、「日露戦争後の日本はアジアのリーダーなのか?」を挙げさせていただいておりますので、比較していただいて、ご意見いただければと思います。宜しくお願い致します。
参考文献・資料
- 韓相一・韓程善著『漫画に描かれた日本帝国~「韓国併合」とアジア認識~』(明石書店/2010年)
- ネルー著『父が子に語る世界歴史』(みすず書房/2016年)
- 伊藤之雄・李盛煥編著『伊藤博文と韓国統治』(ミネルヴァ書房/2009年)
- 清水書院『私たちの歴史総合 資料から読み解く近代の日本と世界』