音楽はファシズムにどのように利用されたのか?
教材のねらい
佼成学園女子中学高等学校の高野晃多先生からの提供です。
高野先生からのメッセージ
世界史Bの授業で実施した全三回の音楽史の第三部になります。音楽とファシズムの関係性を考える授業です。
個人的な反省点は、まずMQに「ファシズム」という概念用語を安易に使ってしまったことです。「ファシズムとは何か」をイメージしやすいように映像資料を全員に見せて、感想・疑問点を提出させた後の授業でしたが「まずファシズムって何?」という声が生徒から聴かれました。そのためMQは「ヒトラーは音楽をどのように利用したのか?」や「ヒトラーは音楽にどのように影響を受け、どのように利用したのか?」とした方が良かったと思いました。
また、エキスパート資料もさらに精選が必要でした。生徒曰く「過去2回の授業では音楽史が既習事項の接着剤の役割を果たしていたが、今回は音楽史に直接関係ないエキスパート資料(SQ)だと感じたので関連付けるのが苦労した」そうです。もっと丁寧な足場かけが必要だったと反省しています。
ただ、年間授業の振り返りの中で「特に印象に残っているのはファシズムです。ドキュメンタリーやファシズムと音楽でやったように、こんなちょっとした身近なことが大きな戦争に繋がっているのかと知ったことが衝撃的でした。自分の意志を持つこと、判断することが大事なんだと歴史から学ぶことができました。」とコメントしてくれた生徒がいたことから、こちらの意図がある程度は伝わったのではないかと思います。歴史総合の<国際秩序の変化や大衆化と私たち>でも実施可能な教材になります。ご意見ご批判頂戴できたら幸いです。
参考文献
- 『詳説 世界史B改訂版』(山川出版社)。
- 『ニューステージ 世界史詳覧』(浜島書店)。
- 『最新世界史図説 タペストリー十八訂版』(帝国書院)。
- 『歴史風景館 世界史のミュージアム』(東京法令出版)。
- 岡田暁生『西洋音楽史「クラシック」の黄昏』(中公新書、2005年)。
- 奥波一秀『フルトヴェングラー』(筑摩選書、2011年)。
- アンヌ=マリ・ティエス『国民アイデンティティの創造十八~十九世紀のヨーロッパ』(勁草書房、2013年)。
- 本間ひろむ『ユダヤ人とクラシック音楽』(光文社新書、2014年)。
- 西原稔『新版 クラシックでわかる世界史 時代を生きた作曲家、歴史を変えた名曲』(アルテスパブリッシング、2017年)。
- 片山杜秀『ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる』(文春新書、2018年)。
- 田野大輔『ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか』(大月書店、2020年)。
- 『ホロコースト百科事典』*外部リンク(UNITED STATES HOLOCAUST MEMORIAL MUSEUM内のコンテンツ)
- 視聴映像資料「笑顔が暴力を生んだ夜〜なぜ人々はヒトラーに従ったのか?」『ダークサイドミステリー』(2022年)
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