ギリシア人の都市国家

教材のねらい

都立桜町高等学校の加藤隆浩先生からの提供です。

加藤先生からのメッセージ

都立桜町高等学校2年生世界史探究の授業実践。初任者研修の一環で行った研究授業の一つです。

単元を貫く問:オリエント文明と比べて,ギリシア人の社会にはどのような特徴があったのだろうか。また,それがのちのヨーロッパ近代文明に与えた影響は何か。
MQ:アテネで民主政が発達したのはなぜ?
EQ:古代アテネ民主政は近代国民国家の胎動といえるか。

本単元は「ギリシア・ローマ史」の導入といえるが,古代ギリシアや古代ローマの社会や文化の特色を読み取るのみでは,世界史の萌芽としての「古代」の本質に迫ることができない。そこで,本単元ではアテネの民主政の発達に伴う「市民」の台頭とその内実を歴史総合で学習した「国民国家」を構成する「市民」と結び付けることで,近代市民社会の胎動が古代に発見できるのではないか,という本質的な世界史の問いについて考察する。この学習が,多様な政治権力や政治化された宗教的共同体によって人間らしさや個を喪失した「中世」を経て,近世のイタリア=ルネサンス期に「古代」の「市民」としての生き方あり方が発見されるに至り,それが原動力となって近代市民社会へ移行していくことの見通しを持たせることに貢献する。
(もちろん中世が完全な個の没落であると断定づけるものではない)。

普段のグループワークでは知識構成型ジグソー法,KP法での探究からトゥールミンモデル,ベン図をなどで内容整理を行いますが,今回は2回の授業で完結させるためにジグソー探究のところや因果関係の整理のところを簡易的なものとして実践しています。

内容の整理のところはロイロノート上にキーワードとなる事項などを付箋シートとして配布してそれを精査したり並び替えたりする作業で理解させます。
その後MQの問いをロイロノートで提出という流れです。
EQ:古代アテネ民主政は近代国民国家の胎動といえるか,はMQを踏まえてペアワークなどで探究していく。

単元を貫く問いはOPPAシートを使って論述し,素朴概念からの変容を明らかにしていく。

参考文献・資料

  • 川島重成2005「ギリシア悲劇」(講談社学術文庫)。
  • 桜井万里子1997「ギリシア史概説」伊藤貞夫・木村凌二編「西洋古代史研究入門」(東京大学出版)pp.16-23。
  • 的射場敬一2009「ギリシアポリスの形成と市民」『國士舘大學政經論叢』(国士舘大学政経学会)20,25-57。
  • 馬場恵二1984「ギリシア・ローマの栄光」(講談社)。
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単元に含まれる教材

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