奴隷貿易と「現在」~過去に対する現代の人々の「責任」

教材のねらい

東京都立羽村高等学校の今村航太先生からの提供です。

今村先生からのメッセージ

先日日本のロックバンド「Mrs. GREEN APPLE」の楽曲『コロンブス』のMVが「炎上」したことや、その炎上に対して「気にしすぎ」「表現の自由だ」という声が上がったことは、世界史は「自分たちとは関係のない“過去”のこと」であり、元来の世界史教育が英雄史観を脱却できておらず、過去の出来事が現在の人々に及ぼす“痛み”や、それに伴う“怒り”に十分に向き合っていなかったことを痛感しました。

本実践ではそのような問題意識を念頭に置き、奴隷貿易という“過去”の暴力に対し“現代”の人々がどのように向き合っているかを理解し、今後どのように向き合っていくべきかを議論させることを通して、歴史が現代にも強く影響を与えていることや、歴史に真摯に向き合うことの重要性について実感させることを目標としています。

◆本実践のMQ
現代の人々は奴隷制という過去の暴力にどう向き合っていくべきなの?
○第1時のまとめ記述
 奴隷制という過去の暴力に向き合い、抗議を行うイギリスの人々。彼らは今後どのようにして人種差別の撤廃を訴えていくべきだと思いますか。
○第2時のまとめ記述
 あなたは現在のイギリスは過去の奴隷貿易の被害を受けた国々に公式に謝罪・補償をすべきだと思いますか。選択肢のうちいずれかに〇をし、選んだ理由や意見を述べてください。
① 謝罪・補償をすべきだ。
② 謝罪をすべきだが補償はしなくてよい。
③ 補償をすべきだが謝罪はしなくてよい。
④ 謝罪も補償もしなくてよい。

参考文献・資料

  • 『世界史探究』(東京書籍、2022年)
  • テッサ・モーリス=スズキ『過去は死なないーメディア・記憶・歴史』(岩波現代文庫、2014年)
  • テレ東BIZ「イギリスで奴隷商人の銅像が… 各国で続く抗議デモ」、https://www.youtube.com/watch?v=4Gy3SbGXG_U(2024年7月15日閲覧)
  • BBCNEWS「イギリスで人種差別に抗議続く、奴隷商人の銅像を引きずり下ろし」、https://www.bbc.com/japanese/52960399(2024年7月15日閲覧)
  • TBS NEWS DIG Powered by JNN「イギリス王室に奴隷の歴史謝罪求める声 エリザベス女王が亡くなってから1年 新たな王室は奴隷制とのさらなる向き合いを迫られる|TBS NEWS DIG」、https://www.youtube.com/watch?v=0aFhqhy2Igs(2024年7月15日閲覧)
  • Yahoo!JAPANニュース「どうやって払うの? 歴史の清算は高くつく 英奴隷貿易35兆円、米奴隷制は1285兆円也」、https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/5e198bc27bec2aecb8dde22be34f20a93a80d412(2024年7月15日閲覧)
  • Klas Rönnbäck.On the economic importance of the slave plantation complex to the British economy during the eighteenth century: a value-added approach. (Journal of Global History.13(3).pp.309-327.2018)
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