世界経済の変容と日本(第一次世界大戦は、日本にどのような影響を与えただろう?)

教材のねらい

芝浦工業大学柏中学高等学校の神永卓弥先生からの提供です。

神永先生からのメッセージ

 小単元「世界経済の変容と日本」を扱った教材で、第一次世界大戦後の日本を焦点として作ってみました。
 ⑴ 金本位制を再建する国際的な動きに日本がどう関わろうとしたのか
 ⑵ 国際社会における地位向上を目指す日本国内の知識人言説
 ⑶ 実質賃金の低下に苦しみ、それどころではない大衆
 を要素として作成しています。

 ⑴はグローバル経済の確立についてです。近世東アジアの経済環境→アジア域内貿易→産業革命→アジア経済の自由貿易体制への編入と展開する大単元B⑵を踏まえて行われる単元だと理解しています。この後は大単元C⑶で世界恐慌を、大単元D⑵と⑶戦後の国際経済へと繋がっていく見通しです。参考文献にあげた杉山先生のご著書が読みやすく、多くのことを勉強させていただきました。

 ⑵は吉野作造と石橋湛山が登場します。石橋による小日本主義の主張が、あくまで日本の雄飛を志向した言説であったことを生徒に捉えてもらおうと考え、資料を用意しました。教材の制作当初は人種差別撤廃条項を扱うつもりでしたが、移民問題や日米関係とともに学んだ方が良いと判断し、現在は日中戦争を扱うところで焦点を絞って教材化しようかと構想しています。

 ⑶は元老井上馨の「天祐」発言とは裏腹に、物価上昇で生活が苦しむことを確認し、大正政変などの都市民衆騒擾への繋がりに含みを持たせるようにしました。

 生煮えの感がありますが、やらせてみると生徒によっていくつか解釈が分かれるところもあり、クロストークがかえって活気づきました。先生方のご指導なさっている生徒さんの状況にあわせて、適宜改変してご活用いただければ幸いです。

参考文献・資料

  • 杉山伸也『グローバル経済史入門』岩波新書,2014
  • 望月詩史「小日本主義と自由主義」(山口輝臣/福家崇洋編『思想史講義【大正篇】』ちくま新書,2022)
  • 酒井一臣「コラム8 国際協調主義」(山口輝臣/福家崇洋編『思想史講義【大正篇】』ちくま新書,2022)
  • 春井久志『金本位制度の経済学』ミネルヴァ書房,1992
  • 大阪大学歴史教育研究会編『市民のための世界史』大阪大学出版会,2014
  • 加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』朝日出版社,2009
  • 高校歴史教育研究会編『資料と問いから考える歴史総合 深い学びへの授業モデル』浜島書店,2022
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