小説「こころ」を通して「明治時代」を読み解く
教材のねらい
千葉県立国分高等学校の濱田文先生からの提供です。
濱田先生からのメッセージ
小説は資料(史料)の一つですが、「事実」を正確に伝えるものではないとの理由から、授業ではあまり取り上げられてこなかったように思います。しかし、夏目漱石の「こころ」や森鴎外の「舞姫」などは国語の授業で教材として扱われる機会も多いため、明治という時代を知るにはうってつけの資料(史料)だと思います。
特に、漱石の「こころ」は新聞に掲載されていたこともあって、当時の世相を色濃く反映したものとなっています。そこで、「こころ」をより深く読み解くことを通して、歴史の授業で明治という時代に迫れたら面白いのではないかと考えました。
国語の授業の中で生徒たちが感じていた疑問(当時の結婚観や法整備、家族と個人主義、前近代的思考から近代的価値観への過渡期など)をベースに授業を組み立てたので、「近代化への問いを表現する」ことにつなげることができた部分もあります。国語の授業のほうで「こころ」を学習し終えた後に今回の授業を実施したので、生徒たちは明治という時代をより明確にイメージできたのではないかと思います。
小説を(部分的にでも)読むと、その小説の舞台となる時代を大まかにではありますがイメージすることができます。そのため、日本史探究においても、「時代を通観する問い」を立てやすくなるのではないか、という感触を得ました。
参考文献・資料
- 夏目漱石「こころ」(新潮社、昭和27年)
- 小森陽一「戦争の時代と漱石」(かもがわ出版、2017年)
- 高等学校国語科用教科書 『文学国語』(大修館書店)
- 『詳説日本史』(山川出版、2017年)
- 『図説 日本史通覧』(帝国書院、2020年)
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