諸地域の交流・再編

単元を貫く問い：異なる宗教、民族、文化を持つ人々が出会ったとき、彼らはどのような関係を築いたのだろうか？

　私が担当したのは、学習指導要領の「（２）結びつくユーラシアと諸地域（ア）西アジアの動向とアジア・アフリカへのイスラームの伝播、ヨーロッパ封建社会とその展開、宋の社会とモンゴル帝国の拡大を基に海域と内陸にわたる諸地域の交流の広がり」に該当する範囲である。この中単元を通して、近現代とは異なった価値観に基づいて発展する諸地域を学び、現代を相対化する視点を養う。現代から見ると酷く不条理、残虐に見える事象もありながら、一方で当時の合理性を有していたことに気付き、この点を足がかりとしながら自文化を相対化しながら異文化を理解する態度を身につけさせたい。また、それぞれ異なる価値観に基づいて存在する諸地域が、いかにして交流するのかを学ぶ中で異文化を受容していく人々の姿に気付かせたい。４単位で世界史探究を行うため、「交流・再編」というテーマに沿って、概ね交易や衝突が生じた事象に焦点を当て内容を精選した。中単元の構成は以下の通りである。

　レコンキスタや十字軍、商業の拡大、十二世紀ルネサンスなどは、西欧とイスラーム世界が出会った現象のさまざまな側面であると言える。西欧とイスラームが直接対峙したとき、西欧にどのような変化が起きたのか、対立、共存、交流などさまざまな側面から考察・判断させたい。

• リード文の地図、十字軍と西ヨーロッパ勢力の拡大（１１～１３世紀）、山川出版社『詳説世界史』p.139
• 資料A、帝国書院『新詳　世界史探究』p.p.113-114
• レコンキスタの一幕、“Batalla del Puig por Marzal de Sas”, https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Batalla_del_Puig_por_Marzal_de_Sas_(1410-20).jpg
• 第二回十字軍、“BattleOfInab”，https://commons.wikimedia.org/wiki/File:BattleOfInab.jpg
• 活動２中の地図、帝国書院『タペストリー』、p.p.28-29
• ♦資料１の十字軍国家の地図、山川出版社『山川詳説世界史図録』p.82
• ♦資料１の文章、山川出版社『世界史リブレット　十字軍と地中海世界』
• ♦資料２のイェルサレム占領の挿絵、“1099jerusalem”, https://commons.wikimedia.org/wiki/File:1099jerusalem.jpg
• ♦資料２の文章、中央公論社『世界の歴史８』
• ♦資料３、サラーフ＝アッディーンによるイェルサレムの奪回、山川出版社『世界史リブレット人　サラディン』
• ♦資料４、１２世紀に地中海沿岸を旅したムスリムの記録、藤本勝次・池田修監督『イブン・ジュバイルの旅行記』
• ♥資料１、レコンキスタの推移、山川出版社『流れ図世界史図録ヒストリカ』p.95
• ♥資料２、十二世紀ルネサンス、伊東俊太郎『十二世紀ルネサンス』
• ♥資料３、フワーリズミー『代数学』、伊東俊太郎『十二世紀ルネサンス』
• ♥資料４、“Ibn Ezra reading stars”,https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Psalterium-Ibn-Ezra.jpeg
• ♠資料１、第一回十字軍とヴェネツィアが結んだ契約、山川出版社『世界史リブレット　十字軍と地中海世界』
• ♠資料２、アイユーブ朝（エジプト）のスルタンとヴェネツィアが結んだ契約、山川出版社『世界史リブレット　十字軍と地中海世界』
• ♠資料３、イタリア商人の交易活動、山川出版社『世界史リブレット　イタリアの中世都市』
• ♠資料４（文章・地図）、カーリミー商人、山川出版社『詳説世界史』p.p.１７０－１７１