平氏政権の誕生と武士の政治進出-鎌倉時代で力を持っていた者はだれか?-

教材のねらい

栃木県立宇都宮中央高校の阿久津祐一先生からの提供です。

阿久津先生からのメッセージ

単元を貫く問い:平氏にとって瀬戸内海はどのような空間?

・平氏政権については指導要領大項目B中項目(1)の領域でもあるが、平氏を武家政権のひとつとみる研究もあるほか、授業プリントでは治承寿永の乱の前後や平氏滅亡への過程を中心に扱っているため、本授業案は指導要領上の中項目(3)(ア)の“武家政権の成立と展開”という鎌倉政権へとつながるものと教材作成者は考えている。よって中項目(1)と(3)をつなぐ授業プリントだと理解していただきたい。

・中項目(3)の最初の授業となるために、生徒の学習のつまずきを可能な限り減らしたい。そのためには、学習のレディネスを高められるような仕掛けとして、積極的に2次資料を使ったこと、平易な資料を使用したこと、既習事項を確認する問(日宋貿易について)を設定したりした。

・瀬戸内海をフィールドに歴史学習を展開することで、平氏の隆盛と滅亡を同時に学習させることができると考えプリントを作成した。寺社勢力と海域の権益を争う平氏、自らの権力の象徴として厳島神社や大輪田泊、福原京を造営しようとした平氏、治承寿永の乱で戦い敗れ壇ノ浦にて最期を迎える平氏とそれぞれの場面で資料を用いた問を設定し思考させることによってMQに答えられるように工夫した。

・プリント1枚を2授業時間(100分)で終えられるように構成した。

・日々授業をしていて寺社仏教勢力を生徒に理解させることは難しいと感じている。というのも、生徒は仏教=優しい考え、戦いを好まない性質を有する、という概念を有しているからだ。既得権を守ろうとする寺社勢力の行為に一歩でも踏み込めるプリントを作成しようと意気込んだものの志半ばである。

・赤字が生徒の想定解答、青字は教材作成者の意見等をあらわしている。

参考文献・資料

  • Q1平家物語「先帝身投」 市古貞次訳『日本の古典をよむ—平家物語—』(小学館、2007年)より
  • Q2網野善彦『日本社会の歴史(中)』(岩波新書1997年、pp.80-81)
  • Q3網野善彦『日本社会の歴史(中)』(岩波新書1997年、pp.80-81)
  • Q4「後白河の幽閉と1181年ごろの平氏の知行国範囲」市古貞次訳『日本の古典をよむ—平家物語—』(小学館、2007年)と『福井県史』通史編第2巻より
  • 資料1「日宋貿易と厳島」瀬戸内・海の路ネットワーク推進協議会HPより
  • 資料2「厳島神社の由来」厳島神社HPより
  • 資料3「福原京と大輪田泊」浜島書店『新詳日本史』
  • 資料4「福原京遷都のときの様子」岐阜女子大学デジタルアーカイブより
  • Q7市古貞次訳『日本の古典をよむ—平家物語—』(小学館、2007年)pp.99-101より加筆
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