この戦争をどのようなものとして記憶していくべきでしょうか?

教材のねらい

湘南学園中学校高等学校の山根友樹先生からの提供です。

山根先生からのメッセージ

戦後80年を前に、勤務校(湘南学園中高)で実践した特別授業の教材です。

教材は、「戦後80年を見据えて、戦争のことを学びたい、考えたい」という、勤務校の有志の生徒たちが集まって立ち上げられた「平和プロジェクト」からの依頼をうけ、作成しています。
教材の作成にあたり、「身近な戦争のことを知りたい」「様々な角度から多面的に戦争を学びたい」というプロジェクトメンバーからの要望を踏まえ、以下のようなねらいを設定し、教材を構想しました。

〇「戦後80年」を前に、戦争を体験した人々が次々に世を去り、新たな「記憶」の継承が求められていることを踏まえ、戦争の「記憶」をいかなる形で継承していくべきか考えてほしい。
〇その材料として、勤務校が立地しており、また多くの生徒にとってもなじみ深い藤沢・湘南の地におけるアジア・太平洋戦争に関する様々な「記憶」と生徒たちを出会わせたい。
〇日本や地域における「被害」の側面を強調する「記憶」ではなく、「加害」の「記憶」をも継承してほしい。

以上をふまえ、「戦後80年。湘南学園の私たちは、この戦争をどのようなものとして記憶していくべきでしょうか」という問いをメイン課題にすえ、知識構成型ジグソー法で教材を作成しました。

通常、問いの答えを具体的に想定して資料を構成しますが、今回の授業の特性上、「異なる『記憶』を読み解き、代弁する中で戦争を見つめ、対話的に学ぶ」ことを重視し、問いの答えをあらかじめ具体的に考えることはせず、ジグソー活動が終わった段階で、クロストークにあたる部分を、プロジェクトメンバ―主導の感想交流で代替する形で実施しています。

以上のような大枠を有している授業ですので、歴史総合の大項目Cの終盤で活用できる教材になっています。また、今回は「被害の記憶」と「加害の記憶」の構造をメインにすえた授業になっていますが、「抵抗」の視点を加えたり、あるいは事前に「記憶」に関する授業を用意することで、より深みのある授業になるだろうとも感じています。
ご意見、ご批判賜りたく思います。

参考文献

  • 『湘南学園三十年の歩み』学校法人湘南学園、1963
  • 『父と母の戦争体験 湘南学園小学校6年 ばら組、こすもす組』、1973 ※書籍ではなく文集です
  •  神奈川と朝鮮の関係史調査委員会 編『神奈川と朝鮮 : 神奈川と朝鮮の関係史調査報告書』神奈川県渉外部、1994
  • 神奈川県歴史教育者協議会 編『神奈川県の戦争遺跡』大月書店、1996
  • 大貫英明 神崎彰利 福島金治 西川武臣 編『神奈川県の歴史』山川出版、1996
  • 藤沢市教育委員会 博物館建設準備担当 編『FUJISAWA 1945-1959 アメリカ軍の見た藤沢』藤沢市教育委員会、1999
  • 藤沢市教育委員会 博物館建設準備担当 編『市民が語る十五年戦争』藤沢市教育委員会、2000
  • 『太平洋戦争幻の侵攻「コロネット作戦」本土攻略の上陸地は茅ヶ崎』タウンニュース(https://www.townnews.co.jp/0603/2018/08/10/444045.html)(公開日2018.8.10)(2024.11.03閲覧)
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