主権国家体制と複合国家

教材のねらい

埼玉県立与野高等学校の武井寛太先生からの提供です。

武井先生からのメッセージ

岩井淳『ヨーロッパ近世史』(筑摩書房,2024年)をもとに開発した教材です。
現代の「国家」は、単一民族からなる国民国家ではなく、EUなどの地域統合や、カタルーニャ地方やスコットランドなど地方や少数民族を重視する立場が前面に出た国家観となっており、こうした現代への解像度を高めるためには、近世を国民国家の前段階の歴史として捉えるのではなく、むしろ現代の国家観に続いていく「複合国家」としての特徴を浮き彫りにした方がよいのでは、と前掲書を読んで考え、教材開発に至りました。
教材だけでは目標論や指導は見えてこないと思いますので、是非、岩井先生の著書を読まれることをお勧めします。

また教材開発においては、授業実践した結果、「国民国家」をイメージできているかどうかで成果物の出来に大きな差が出ました。導入で歴史総合で学んだ「国民国家」を復習する学習課題を丁寧に設けると良いと思いました。その意味で、私が教材共有サイトに提供している歴史総合の「国民国家」の教材は不十分であることに気付かされました(この教材で学んだ生徒を対象に私は歴史総合の授業をしていませんが――)。

参考文献・資料

  • 岩井淳『ヨーロッパ近世史』(筑摩書房,2024年)
  • 岩井淳『複合国家から読み解く世界史: 「国民国家史観」再考』(山川出版社,2024年)
  • 具体的な史料や問いについては高大研第10回大会(静岡大学)の第2部会パネルで野々山新先生が開発された「相対主義を克服する」から多くを援用しています。
    また、バスク地方のフエロス、リンネの人種観といった興味深い史料は、ChatGPTに検索をかけて収集しました。前者はバスク地方議会のホームページに掲載されているPDFを見つけて翻訳してもらい、後者は日本語で読める学術論文を見つけてもらい、引用されている箇所を引っ張ってきました。

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