だれもが自らの声を届けられる社会は、どうすれば実現するのだろうか
教材のねらい
神奈川県立光陵高等学校の渡邊泰斗先生からの提供です。
単元や教材の説明
「選挙権の拡大という切り口」から政治的な「自由・制限」を考える題材を作成した。2~3時間程度で実施することを想定している。教材の展開は、大まかにはいかのようになっている
【男子普通選挙(日本)】→【女性参政権獲得(世界各国)】→【婦人参政権運動(日本)】→【植民地などにおける選挙権】→【18歳選挙権(日本)】→【ジェンダー・ギャップについて(日本)】
まず、1では、冒頭の日本における普通選挙導入をめぐる原敬日記の記述からは、「平民宰相」と呼ばれつつも普選導入と距離をとる1920年時点の為政者の「大衆」観が読み取れ、5年後の導入時の治安維持法という歴史的知識と結びつく。
次に、2では世界の国々における女性参政権獲得の時期を調べ、その違いから本単元「国際秩序の変化や大衆化と私たち」が扱う20世紀前半における二度の大戦の存在とその時代を生きる女性たちの姿を想像する。また、植民地における状況などをふまえてこの歴史を辿っていくと、選挙権という政治的な自由を獲得した裏には常に制限を受ける人々が存在していたことに気づく。
ここまでは、歴史的事象としての選挙権拡大の歴史に焦点を当ててきたが、最後に身近なJ-POPの歌詞と18歳選挙権を結びつけることで、歴史や政治が生徒にとってさらに身近な存在となり、近く選挙権を行使する年齢になることを確認し、歴史が「自分事」としてとらえることができるような展開になっている。
そして、3では日本におけるジェンダーをめぐる現代的諸課題について、複数の資料を読み取り、背景を調べ、解決・改善策を構想するなかで、現実に直面している課題に対して主体的に向き合い、思考を凝らす。
*本教材は教材共有サイト(旧サイト)に2022年3月10日にアップロードされた教材と同じものです。