空海は長安でキリスト教に出会ったのだろうか?

教材のねらい

和歌山県立文書館の寺前駿先生からの提供です。

寺前先生からのメッセージ

 前任校である和歌山県立和歌山北高等学校での実践です。

 「大項目C 諸地域の交流・再編」の導入として実施しました。「大項目B 諸地域の歴史的特質の形成」で学んだ諸地域(西アジア・地中海周辺と中央ユーラシア・東アジア)が交流した事例として、ふるさと教育等で生徒たちにとって身近になっている空海を取り上げ、「大秦王景教流行中国碑」がなぜ和歌山県の高野山にあるのかを起点に「空海は長安でキリスト教に出会ったのだろうか?」と問いかけました。

 授業の後半では、高野山にあるレプリカの碑は1908年にイギリス人女性のゴードンによって建てたられたことを紹介し、歴史総合での学びを踏まえてなぜ彼女が高野山に「大秦王景教流行中国碑」を建てたのかについて考えるようにしました。

 これらを踏まえ改めて「あなたは長安に渡った空海がキリスト教に出会ったと考えますか?」と問いを投げかけました。事実として残されていない「空海がキリスト教に出会ったこと」が歴史的に正しいと言えるのか?ゴードンが帝国主義の時代に東西融合を夢見て事実として残されていない空海がキリスト教に出会ったと想像したことは適切なのか?について生徒たちが考えられるようにしました。

 授業の終末では、「世界史を考える題材は身近にある。」と伝え、世界史が「遠い」ものではなく、身近に存在するものであると伝えました。

参考文献・資料

  • 小原淳「和歌山の景教碑」(村井章介監修『世界史とつながる日本史』ミネルヴァ書房、2018年)
  • 『新詳 世界史探究』帝国書院、2023年
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