15_「植民地支配は、植民地の人々を救った」という言説は、どの程度妥当だろうか?

教材のねらい

滋賀県立彦根東高等学校の濵野優貴先生からの提供です。

濵野先生からのメッセージ

 南・東南アジアの歴史を主な題材としつつ、テーマはより抽象度の高い、深い問いを目指しました。
 「植民地の人々」と言っても立場がさまざまであったこと、植民地と宗主国の構造の理解を目指し、「木を見て森を見ない」歴史学習に陥らないよう工夫しました。もちろんその分個々の実態を矮小化・単純化してとらえてしまうリスクがあります。その点は伝えつつ、今後も植民地支配は繰り返し触れていくので、その間に、より多面的な各自の考察が深まればと思います。
 『「~」という言説は、どの程度妥当だろうか?』型のMQは、多面的・多角的な理解を目指す上で、手ごろで便利な問いの型だと思います。
 武井さんの実践「ヨーロッパ勢力の植民地支配が東南アジアの大陸部と島嶼部に与えた影響は何?」、神永さんの実践「帝国主義(なぜ、植民地の獲得は求められたのか?)」を基に作成しました。

生徒の感想(授業アンケート「歴史総合のこれまでの学習(プリント【7】~【15】)の学習のうち、特に印象に残っている授業と、その理由を教えてください。」への回答)

  • 【15】植民地支配されている地域は悪い目にあっているだけではないのかな?と本日のクエスチョンを 見ておもったが、資料を読んでいて植民地で暮らす人々の残酷さを強く感じたから。
  • 【15】で、植民地支配の闇の深さ(植民地の人々が支配によって発展したことにしか焦点を当てておらず、宗主国から資源や労力を搾取されているのに気づいていない、現状を認めてしまっているなど)が学べたから。
  • 【15】植民地支配は、植民地支配の人々を救ったとは、どの程度妥当かという内容について。 帝国主義について、それは一方的なヨーロッパからのアジア、アフリカへの進行だと感じていたが、それは、とらえ方によると、発展途上国への支援の一つになるのだと知った。ならば、いま日本がしている国際的支援なども、当事者の人々にとっては、違う、マイナスのとらえ方になっているのかもしれないなと思った。
  • 【15】今までは植民地支配に植民地の人々を救ったという考えは自分にはなく、新しい発見ができたし、やっぱり苦しんでいる人もいたという裏があるところも面白かったから。
  • 15回でヨーロッパの人々は植民地支配することを文化を広めるためと正当化していてそのせいで植民地支配された国の文化や産業が衰退してしまったのがとても一方的で自分のことしか考えていないと思った
  • 【15】植民地支配は、人々を救ったとあったが、コンゴで命令に従わないと手や足を切り落とされるといった事実があったことに驚いた。

参考文献・資料

  • 大澤広晃『帝国主義を歴史する』清水書院、2019年
  • 帝国書院『最新世界史図説タペストリー』P.227
  • 山川出版社『詳説世界史B』P.291~292
  • 山川出版社『詳説世界史研究』P.378~379、538
  • 帝国書院『新詳世界史B』P.221
  • 山川出版社『高校世界史』P.213
  • 山川出版社『新世界史』P.349
  • 山川出版社『流れ図世界史図録ヒストリカ』P.243
  • 山川出版社『現代の歴史総合』P.236
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